対人恐怖症、社交不安症のカウンセリング

実は、対人恐怖症がカウンセリングの相談の中で一番多いと言っても過言ではありません。

カウンセリングを受けている人の中には、自分は対人不安を抱えていたり、対人恐怖症だと自覚をして相談に来られる方もあれば、別の理由でカウンセリングを受けたけど、対人不安や対人恐怖がうつ症状やパニック症状などの原因になっているというようなケースもあります。
自分が対人恐怖症かどうかの自覚の有無を問わなければ、カウンセリングを受けに来られている方の大半は対人不安、対人恐怖を抱えていると言えます。

対人恐怖症を克服するためには、対人恐怖症とはどういうものかを客観的に把握することが必要です。
そのために対人恐怖症の人が抱えている心理的特徴について知っておいて頂きたいと思います。

対人恐怖症という心の病

対人恐怖症という心の病は、人間自体が怖いのではなく、他人に嫌われること、他人に否定されること、他人に迷惑を掛けてしまうことなどが怖いと感じ、それが日常生活に影響を及ぼすレベルである状態です。

精神疾患の診断と統計マニュアル(DSM-5)において対人恐怖症は「社交不安障害」と診断されるようになっています。

なぜ対人不安、対人恐怖という感情が生まれるのか

人間は、環境に適応して生き抜くため、物事に対して安全か危険かを見極めようとする意識が働くようになっています。

他人と良い関係を築くことは心理的にも物理的にも生きていく上で重要なことであるからこそ、私達は本能的に安定した人間関係を求めていて、それが築けなければどうしようという思いが強くなると対人不安や対人恐怖という感情が生まれてくるのです。

生まれつき繊細さを持つ人が家庭や学校で何かしら安心できないと思う経験をすることによって、人からどう思われているのか、どう見られているのかばかり意識する対人恐怖症に陥ってしまうパターンが多く見られます。

対人恐怖症の原因となる他者意識と自尊心

人間の意識は思春期を境に社会の中で関わる人を親しく安心できる人、話はするがあまり親しくない人、お互いに認知しているけど話すことがない人、知らない人という感じで、分類するようになります。
このような分類が生じると、他人の視線、他人の評価というものが大なり小なり気になり始めます。
この際に他人の視線や他人からの評価について不安に思う意識が高まり対人恐怖症になってしまうのです。
他者意識に対する過剰な警戒心は対人恐怖症の人が抱えている特徴の1つと言えます。

もう1つ対人恐怖症の人に特徴的なのは自尊心の低さです。
幼少期からの体験で自尊心が十分に育っていなかった場合、他人の視線や評価は自分に対して否定的なものだと決めつけやすくなってしまいます。
幼少期から、自分に自信を持つことができていなかったことが、思春期に起きる他者意識の分化に伴って、自分は他人から否定的な視線や評価を受けるものだと結論付けられてしまうのです。
その結果、人前で話ができない、何気ない会話ができない、人の視線が怖いという感覚を持つようになってしまうのが対人恐怖症なのです。

対人恐怖症の人の割合

自分が対人恐怖症であることを自覚している人、自覚していない人を合わせると世の中の7人に1人程度は対人恐怖症になると言われています。

対人恐怖症の心理的特徴を抱えていて、生活を送る上で支障をきたす人たちと対人恐怖症の特徴を持っているが生活に支障が出るほど困っていないという人を合わせると7人に1人くらいになるそうです。

対人恐怖症の可能性を感じた時、『こんな風に考える自分はおかしいのではないか』と思ってしまい、カウンセラーに相談することにも抵抗を感じてしまう人もおられます。
しかし、対人恐怖や対人不安を感じてしまうことは決しておかしいことではないので、1人で抱え込んでしまわないことが大切です。

対人恐怖症の種類

対人恐怖症と言っても、人によって悩んでおられる内容はさまざまです。
下記に記載している症状はすべて対人恐怖症です。
自分や周囲の人が抱えている悩みと照らし合わせてみて下さい。

・赤面恐怖 … 人前で顔が赤くなってしまうのではないかと不安になる
・あがり症 … 人前で話す、朝礼のスピーチなどで緊張して頭が真っ白になる
電話恐怖 … 電話で自分が話す内容を誰かに聞かれることが怖いと感じる
会食恐怖 … 会食で食べ物が喉を通りにくい、吐き気がするので会食が怖い
・視線恐怖 … 他人の視線が怖い、自分の視線で他人を不快にさせていると感じる
・脇見恐怖 … 視線を向けてはいけない方へ視線を向けてしまわないか不安になる
・醜形恐怖 … 自分の顔や体が醜いと感じて激しい自己嫌悪に苛まれる
・自己臭恐症 … 自分の口や体が臭いと思われているのではないかと不安になる
・書痙恐怖 … 字を書こうとすると手が震えて上手く書けなくなる
・男性恐怖 … 近くに男性がいる、男性と会話をするといったことが怖いと感じる
・女性恐怖 … 女性と話すこと、一緒にいることなどが怖いと感じる

カウンセリングには、上記のような悩みを抱えた方が来られていますが、その中にはカウンセラーと会うことも辛いのでオンラインでのカウンセリングを希望される方もおられます。

現在は、SkypeやZOOMでカウンセリングを行うことができるので、対人恐怖症の方もカウンセリングを受けやすくなっているようです。
そのため対人恐怖症の相談は増加傾向にあります。

対人恐怖症チェックテスト

自分の対人不安、対人恐怖症度合いをチェックしてみて下さい。

○親しい友人とでも会うと疲れてしまい、早くひとりになりたいと思う
○本音を相手に伝えると怒らせたり、嫌われたりするのではと心配になる
○人と一緒にいると相手にどう思われているか考えてしまう
○身近な人から嫌われたらどうしようと心配になることが多い
○できるだけ人と関わる機会を少なくしたいと思っている
○上手くいかないことがあると自分が悪いのではないかと思ってしまう
○人前で話す時は言い間違えや言葉に詰まらないか心配になって緊張する
○友達が誰かと仲良くしていると仲間外れにされているように感じる
○いつも何か最悪のことが起きるのではないかと警戒している
○人が話をしていると自分の悪口を言っているのではないかと不安になる
○人の視線が気になって落ち着かなくなることがある
○雑談が苦手で人と一緒にいると何を話していいのか困ってしまう
○自分から話しかけることができず話かけられるのを待っている
○怒りや悲しみ、不安や不満などネガティブなことは人に言えず抑え込む
○怒られることや指摘されることに恐怖を感じる

テストの結果はいかがでしたか?
該当するものが、5つ以内だと対人恐怖症になる要因は持っていると言えます。
6〜10個で日常生活に少しでも支障が出ていたら対人恐怖症だと言えます。
11個以上だと、日常生活で大きな支障が出ていて、生活しづらいと感じるレベルだと言えます。

自分は対人恐怖症かも知れないと感じていて、カウンセリングを受けてみたいとお考えの方はご連絡下さい。
弊社のカウンセラーは、対人恐怖症の相談に多く対応しているので安心してご相談頂ければと思います。

対人恐怖症を克服するカウンセリング

対人恐怖症を克服するためには、対人恐怖症のことや自分自身のことをよく理解することが必要です。
カウンセリングでは話を聴かせて頂きながら知識やアドバイスを提供し、下記3つのアプローチによって克服を目指していきます。

1.対人恐怖症を生み出す心理的課題へのアプローチ

対人恐怖症で悩んでいる人は、他人に迎合して自分を作ってきたことでアイデンティティ(自我)の確立ができていません。
自分がどういう人間なのかよくわかっていないのです。

自分がよくわからないから自尊心が高まらない、感情や欲求を上手く制御できずに飲まれてしまう。
自分との付き合い方が上手くいっていない状態だと言えます。

カウンセリングは蔑ろにしてきた自分のことを話す場になるため、症状のこと以外はなかなか話しづらいところがありますが、少しずつカウンセラーの質問に沿って話せる範囲でお話しいただければ大丈夫です。
自分のことがわかってくるにつれ、自分を肯定しやすい状態となり、アイデンティティが確立して自尊心が高まっていきます。

2.対人恐怖症の歪んだ認知を修正するアプローチ

対人恐怖症で悩んでいる人は、認知(物事の捉え方)の歪みによって出来事を客観的に見ることができない状態になっています。

  • 自分が見たことで相手が不快な思いをして嫌がらせをしてきた
  • 周りのみんなが自分のことを変だと思っていて馬鹿にしている
  • 挨拶を無視されたから嫌われているに違いない
  • 自分の方を見て話している人たちは悪口を言っているに違いない
  • 相手の反応が良くなかったのは自分の症状のせいだ

会話をしていてどことなく気まずい雰囲気になったとき、自分の失言が原因だと思い後から謝ったところ「え?何のこと?」と不思議そうな顔で見られたというエピソードがありました。

事実と異なる捉え方をすることで苦しみ、不安や恐怖、人への不信感を募らせているところがありますので、カウンセラーが修正できるように働きかけをおこないます。
認知の歪みがひどい場合、カウンセラーからの話に対して反論が出てくることは少なくありません。できる限り頭に浮かんだ反論をお話しいただくとより改善しやすくなります。

3.対人恐怖症克服に向けた脳の働きからのアプローチ

対人恐怖症は、それを生み出している脳の働きに対するアプローチが必要となります。
対人恐怖を含めた恐怖感というのは、脳の大脳辺縁系と言われているネットワークが関係しているのですが、その働きを抑制して不安や恐怖を感じても生活に支障がないようにコントロールする働きを担っているのが前頭前野と言われる部分です。

この前頭前野は、話を聴いてもらったり、他人の考え方に触れたり、自分と他人の考え方を照らし合わせて思考したりすることで機能が高まっていくと言われています。
カウンセリングを受けることは、その中で行われるさまざまなアプローチによって恐怖感を生んでいる大脳辺縁系の働きを抑制する前頭前野を鍛えるための1つの方法です。
対人恐怖症の克服を目指している方はカウンセリングをご利用下さい。

対人恐怖症の種類とカウンセリング

対人恐怖症にはいくつもの種類があります。
人前で顔が赤くなることへの不安、 人前にでると頭が真っ白になる、電話をする時に誰かに聴かれることが怖い、会食で食べ物が喉を通りにくい、 他人の視線が怖い、自分の視線が不適切な方へ向かないか不安、容姿が見にくいと思われないかという不安、自分の口や体が臭いのではないかという不安など、他にもさまざまな対人恐怖症の傾向があります。
人によって悩んでいる内容に違いがあるので、カウンセリングではまずはしっかりと話を聴かせて頂き内容に合ったサポートを進めていきます。

当オフィスは対人恐怖症の相談も多く、さまざまなタイプの悩みに対応してきた実績があるので不安や恐怖感で人間関係を上手く築けない、外出することに抵抗がある、学校や職場に行くことが怖いという方はカウンセラーにご相談下さい。

対人恐怖症の方はカウンセリングを受けるとなると『上手く話せるか』、『相手を不快にさせないか』、『話をしたら変に思われないか』などの不安を感じるかもしれませんが、まずは勇気を出して一歩踏み出して頂ければと思います。
カウンセラーは、対人恐怖症の方が抱えておられる心の負担、人によって悩みが違うことなども理解していますので、安心してご相談下さい。