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心の悩みの相談は大阪のAXIAへ

2021/12/02
相談事例
多い相談内容

性犯罪加害者の妻が抱える苦悩と夫へのサポート

夫が起こした性犯罪の影響を受ける妻の苦悩

私達は、性犯罪加害者が犯罪を抑止し続けるためのカウンセリングを行っていますが、その中で加害者の奥様の話を聴かせて頂く機会もたくさんあります。
性犯罪加害者が結婚をしていて奥様やお子様がおられる場合は、加害者の犯罪抑止と並行して奥様の心のケア、そしてお子様のことも視野に入れてカウンセリングを行っているので、性犯罪加害者の家族が抱える負担がどれほどのものか知る機会が多いのです。

夫が性犯罪を行うと下記のような流れで生活が一変します。
何気ない日常生活の中で、急に知らない番号から電話が掛かってきて夫が性犯罪をしたことを知る。
ある日、急に警察が家に来て夫が連れていかれる。
または、夫のスマホの中に盗撮をしたと思われる写真を発見する。

日常生活の中で、急に上記のようなことが起きると混乱してしまいます。
性犯罪加害者の妻が抱える負担は混乱から始まるのです。

夫への不信と怒り、今後の不安

夫が性犯罪を犯したことを知ることで混乱が生じますが、混乱が少し治まりかけると夫への不信感や怒りを感じ始めるという方が多いように思います。
中には、不信感や怒りと同時に『自分にも何か問題があったのではないか』と自己嫌悪になってしまう方もおられます。
また、夫の仕事のこと、今後の夫婦生活のこと、子育てのことなどを考えて不安が大きくなってしまいます。

夫が性犯罪をしたことが発覚してから、弁護士に依頼して被害者と話をしてもらったり、警察や検察からの呼び出しを受けるなど、事件に対して法律的な観点からの決着がつくまでには時間が掛かることも多いので、その間も妻は不安を抱え続けることになります。

妻が直面する家族関係の変化

夫が性犯罪によって家族関係も変化します。
まず夫婦関係は、上記に書いたように不信感や怒りの感情が生じ、その反面不安定な夫を支えなければという思いもあって、夫婦関係を負担に感じることが多くなります。

それ以上に妻を苦しめるのは、夫の両親の態度です。
性犯罪加害者の全てのご両親が当てはまるわけではないのですが、一定数の割合で息子が性犯罪を犯したことについて下記のような態度になるご両親がいます。
  • 息子が性犯罪を犯したことに関与しようとしない(ほぼ注意もしない)。
  • 犯罪であるという認識があるとは思えない言動をする。
  • 妻にも原因、責任があると言って、妻のことを責める。
  • 妻に向かって夫婦間の問題だから、もう親は関係ないと言い責任を押し付ける
  • 息子は反省しているから、もう同じ過ちは犯さないと言う。

夫の両親の上記のような態度、言動に妻が苦しめられ、場合によっては実家との距離を置いて生活をするというケースもあります。
本来は支えて欲しい、夫をしっかりと叱って欲しい両親が上記のような状態であるという苦しみも妻が抱えることになるのです。

子育てへの戸惑いと葛藤

子供の年齢によって夫が性犯罪をしたことを伝えるのかどうかという点に違いはありますが、お子様が小さいと伝えないというケースがほとんどです。
子供がいることで離婚という決断をすることは難しいが、子供を育てていく上で本来は協力した夫が不安定な状態で頼れないという状況も妻にとっての負担となります。

また自分の精神の不安定なため、つい子供を叱る時に強く言い過ぎてしまうことや子供のことに対して細かいところまで注意が向かなくなってしまうという葛藤も生じます。

夫の否認的な態度に不安が強くなる

性犯罪を行う人は、自分の非を認めない、都合の悪いことは目を背ける、物事を都合よく解釈する、嘘をつくというような否認の心理というものが強い傾向にあるため、性犯罪をしたことが発覚した後も十分に反省をしないことや再犯のリスクなど無いように振舞い、これまで通りの生活をしていることもあります。

そうなると妻としては、性犯罪は再犯のリスクがあるということ、夫が犯した犯罪によって自分がさまざまな負担を抱えることになっていることなどに向き合おうとしていない夫を見て不安が強くなります。
結果的には、夫に対するあたりも強くなってしまうのですが、自分の犯した犯罪への反省は弱いのに妻の態度は責めてくるという状態になり、さらに苦悩が増えてしまうというケースもあります。

妻の苦悩を軽減するのは性犯罪を抑止する夫の努力

上記のような妻の苦悩を軽減するためには、性犯罪を犯した夫が性犯罪を抑止するための努力を継続するしかありません。
「反省しているから、もう性犯罪はしない」という男性は多く、妻に対しては反省しているからもう性犯罪のことには触れないでほしいという態度を見せる男性も多いのですが、それは性犯罪の再犯リスクの抑えることにもならないし、妻の苦悩の軽減にもなりません。

これまで性犯罪をしていた人が、それまでと同じ生活をしていたり、同じような家族との関わり方をしていたら、妻の立場からすると夫を信じる根拠がないということになります。
妻が自分が夫のことを信じられなくなった根拠は明確にあるのだから、再度信じられるように明確な根拠を示して欲しいと思うのは当然です。

その根拠とは、『自分は再犯する可能性を抱えている』というリスクを認め、それが表面化しないためにできることを継続することでです。
その内容は、カウンセリングを継続すること、自分の内面の動きに気づけるよう日記をつけること、趣味を見つけてストレス発散の機会を作ること、家族と積極的に関わることなどがありますが、明確な行動を継続することが必要です。

性犯罪を犯してしまった男性には、妻が抱える苦悩に関して理解を深めて再犯防止に取り組んで欲しいと思います。
下記には、性犯罪加害者の妻が夫に対して行えるサポートについて説明しています。
夫の努力が必要であることが前提ですが、妻の立場から抑止力を高めるサポートをすることは可能ですので、下記の内容を参考にして頂ければと思います。

夫の再犯を防ぎたいという方へ

世の中の既婚の性犯罪加害者の中で、犯罪が発覚した後に離婚をしていない人が何割ほどおられるかわかりませんが、弊社でカウンセリングを受けておられる既婚の性犯罪加害者の9割は離婚をせず生活を送られています。

そして、その中には性犯罪を止め続けることができている人もたくさんおられます。
基本的には、こちらの提案を守ってカウンセリングを続けておられる方で再犯をする人は非常に少なく、ほぼ10割に近い人が再犯を抑止し続けることができています。

夫の再犯によるショックと罪悪感

その反面、初めてカウンセリングに来た段階で複数回逮捕されているという人も多く、再犯率の高い犯罪であるというのも事実です。
夫が再犯をすると、性犯罪加害者の妻は、『一度逮捕されて反省も後悔もしているので、もう再犯はしないと思っていた』という思いを裏切られたとショックを受けておられます。
それと同時に『自分なりに夫を支えていたけど、何が悪かったんだろう』と自分を責めてしまう人もおられます。

さらに夫が性犯罪をした場合、その事実から受けるショックだけでなく、再犯率の高い犯罪なのでまた同じことをするのではないかという不安によって心が苦しめられます。
また、ショックと不安という精神的なダメージの上に妻としての自分の関わり方や夫婦関係にも問題があったのではないかという罪悪感が生じる人もいて、それがさらに苦しさを増加してしまうという点が性犯罪の問題点です。

夫婦関係と性犯罪の因果関係はあるのか

夫が性犯罪をしたこと、再犯をしたことと夫婦関係に因果関係はあるのでしょうか?
因果関係を感じて罪悪感を感じたり、夫の両親から因果関係があるようなことを言われて辛い思いをしている女性もおられますが、因果関係があるからと言って責任があるわけではないという認識は持っておいて欲しいと思います。

これはどういうことかというと、性犯罪をしてしまう状態はストレスが蓄積している状態であるため、夫婦間で衝突が多ければストレスも溜まるので衝動を制御することが難しい脳の状態になってしまいます。
しかし、ストレスが蓄積した状態をどのように解決するのかということは本人に責任があることであり、他人が解決してくれることではありません。
夫婦関係について友達に相談したり、気分転換をしたり、カウンセリングを受けるというのも1つの手段です。
自分の機嫌は自分で取ることが大切です。

夫婦関係がお互いのストレスの原因になることはあり、その点についてはお互いに配慮をしたり、関係性や自分の言動を見つめ直す必要性はあるでしょう。
しかし、ストレスが生じたところまでは相手の態度、相手との衝突が原因だったとしても、その後の行動の選択は個人の責任です。
夫婦関係は、お互いの精神状態に対して因果関係はありますが、夫婦関係によってストレスが蓄積した後の行動の選択に関しては個人の責任であり、性犯罪が起きたのは加害者本人がその行動を選択したこと、その背景にある性癖や否認の心理との因果関係が強いと言えます。

他人の言動によって感情の変化が生じることは仕方がありませんが、自分が選択して起こした行動には責任が伴うので、夫が性犯罪を起こしたことは夫自身の選択の問題だということです。
夫が性犯罪を抑止し続けるためには、責任の所在について正しい考え方を持つことが大切で、妻が夫をサポートする上でも妻が過度な罪悪感を持っていると夫がそれに甘えて自分の取った行動の責任について不適切な認識を持ってしまう恐れがあります。

妻が夫の性犯罪抑止とその後の人生を支えていくという場合は、夫婦関係と性犯罪の因果関係についての正しい理解が必要となります。

性犯罪を抑止するために必要な共通認識

本来は、性犯罪加害者は自分の意思と行動によって性犯罪を抑止し続けなければなりません。
しかし、性犯罪をしてしまう人は、精神的に依存性が強く、物事を否認しがちな思考パターンを持っていて、性犯罪という行動が止まっていても、依存性をコントロールできるようになったり、思考パターンが改善するまでには時間が掛かります。

そのため、妻や両親といった家族のサポートがあることは望ましいのですが、サポートをする際に重要なことは性犯罪加害者とサポートする人が、性犯罪というもの、性犯罪を抑止し続けるということについて共通認識を持つこと必要です。
実際にカウンセリングの内容を夫が妻にも伝えていたり、夫婦で一緒にカウンセリングを受けている場合、夫は性犯罪の抑止が続いているという傾向があります。

性犯罪と抑止の継続に関して共通認識を維持する方法

夫が性犯罪を抑止し続けるために、夫婦間で共通認識を維持することができている夫婦には下記のような特徴があります。
  • 夫がカウンセリングを受けた後、その内容を妻に伝えている。
  • 妻も一緒にカウンセリングを受けて認識を共有する機会を作っている。
  • 妻も1人でカウンセリングを受け、心のケアと認識の共有を図っている。
  • 性犯罪抑止のためのメルマガを夫婦共に読んで認識を合わせている。

夫婦で性犯罪と抑止に関する共通認識を持つことは、夫が性犯罪を止め続けることへの意識づけを高めているように感じています。
共通認識を持つ方法は夫婦によって違いはありますが、妻が正しい理解を持っておこうと心掛けることは夫の行動を見守る上での視点が身に付くことになるだけでなく、妻自身の心の安定を高めてくれます。

適切な情報を持たずに、また再犯をするのではないかという不安で心に余裕がない状態が続くことは望ましくありません。
正しい認識を持つことは、妻である自分自身の心のケアにもつながるので、妻の健康を守るという点からも共通認識を持つことは大切にして欲しいと思います。

夫婦で一緒にカウンセリングを受けるという選択

夫の性犯罪抑止のために一緒にカウンセリングを受ける方もおられます。
身近にいて夫を支えていくために必要な情報を学びたいという方、夫だけではカウンセリングで話したことを都合よく受け取っていそうで心配だという方、自分の精神状態も不安定なので話を聴いて欲しいという方など、目的は人によって違いますが、いろんな夫婦を見ていると一緒にカウンセリングを受けることは男性の性犯罪を抑止していく意思を支えることにもなっていると感じています。
性犯罪をしてしまう男性というのは、個人差はありますが否認の心理が強い傾向があるので、夫婦で一緒にカウンセリングを受けることで現状を正しく受け止めることにもつながってきます。

また、一緒にカウンセリングを受けることで男性は妻に自分がしっかりと取り組んでいることを見てもらうこともできます。
性犯罪をしたことで背負わせてしまった負担とその後の不安は、男性が性犯罪の抑止に真摯に向き合う姿勢を妻に見てもらうことでしか和らぎません。
夫婦で問題と向き合っていく中では一緒にカウンセリングを受けるという選択肢も持っていて頂ければと思います。


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